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座学・ワークショップ『TEA Knowledge』第4回【空間】レポート

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 2021年12月7日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年8月16日

茶道教室の生徒さん対象の座学・ワークショップ『TEA knowledge ~お茶の「もののみかた」を愉しむ~』、第4回目を実施しました。手や頭や身体を動かしながらそのお茶の「もののみかた」を体感してもらう講座です。


お茶のもののみかたは「わたし」と世界を分けて見るのではなく、「わたし」も含まれているダイナミックな自然(じねん)として世界を捉えることができるようになること。それによって、自分だけの狭い世界ではなく、もっと広い視野で物事を見れるようになることだと考えています。


第4回目のテーマは「空間」。

茶にとってのメインの「空間」は茶室。お互いの膝がついてしまうほどに狭く、薄暗い場合もあります。そこは、現代の生活・仕事にも通じる知恵がたくさん詰まっています。茶室の簡易模型図である「起こし絵図」を実際に組み立てながら、極小空間だからこそ閉じ込めることができたパワーを体験していきます。


まず空間考えるにあたって、【プレイヤー】と【したいこと】を分けて理解をすすめていきます。今回はこれをメインに進めていきたいと思います。空間は、ただ漫然と偶然できあがったものではないのですよね。茶室の特徴を捉えることで、その空間において【したいこと】、つまり情熱をもってそこで叶えたい、実行したいことが浮き上がってきます。特徴を捉えるために、利休が設計したと伝えらえている国宝「待庵」簡易模型を組み立てていきます。組み立てながら構造を観察してもらいます。手作業が想像以上に楽しかったようで、みなさん無口夢中。


今回皆さんにお配りした待庵の「起こし絵図」は、一級建築士の大貫雄二郎先生のHPよりダウンロードさせていただきました。有難うございます。起こし絵図だけでなく、全国の茶室の間取りや歴史もわかりやすくまとめておられ、大変勉強になり、時間を忘れてしまいます。


予め制作しておいた裏千家の茶席「又隠」の模型と比べて、共通点を挙げていきます。それぞれの特徴が重なったところに、より色濃く茶室で表現、叶えたい、したいことが立ち現れてくると仮定して。みんなそれぞれよく見て、特徴を挙げてくれます。


ここでの一期一会の体験は、この時を、その人のためだけに用意されたものです。ひたすらにその人の事を思い、準備をする。一点に込める。お金を使う事だけでは表現できないことです。褒美とも、自分の感動体験のプレゼンとも違う。真心です。

この時を、その人のためだけに。

フラットになって向き合う。


この哲学を茶は受け継いでいますし、私たちは稽古で日々学ばせてもらっています。だから茶が残っているのだと思います。これはどの時代になっても変わらない大切なこと。生徒さんたちのこれからの人生に役立つ事でしょう。一期一会のもてなしは、つきつめていくとその方への祝福だと思います。その体験、感動が人に生きる力や勇気を与えます。これがお茶の空間だと感じます。


生徒さんたちに言いたいことは、大事な人にぜひ「一期一会」のおもてなしをしてあげてください、勇気を与える人になってもらえるといいなということ。この人のためだけに、とは、と突き詰めていく。なるべく茶会やその運営に参加するのがいいです。茶会を実行するためにやっているのが稽古です。この感覚を磨くのが稽古ということを感じながら、日々充実していってくれると嬉しいです。

『TEA knowledge ~お茶の「もののみかた」を愉しむ~』は今回で完結しましたが、「TEA knowledgeがますます楽しくなってきたので続けて欲しいです」と生徒さん達からリクエストをいただきましたので、また別の切り口での新講座を考えたいと思います。



生徒のRIOさんが持ってきてくれたお土産でお茶の時間。ご友人の和菓子屋さん飛騨高山の「稲豊園」栗きんとん。この座学の日に合わせて送って下さいました。今年最後の栗だそうで、しっとりほくほく、とても美味しく頂戴いたしました。有難うございます。 


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