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座学・ワークショップ『TEA Knowledge』第2回【趣向】レポート

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 2021年8月2日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年3月22日

教室の生徒さん対象の座学・ワークショップ『TEA knowledge ~お茶の「もののみかた」を愉しむ~』、第2回目のレポートです。テーマは「趣向」。


第1回「お茶のもののみかた」では お茶の世界で”ありのまま”を感じることがいかに大切かを「Red」と「Blue」を通じてお伝えました。今回はさらに一歩進めて、「Blue」、”ありのまま”をより磨くべく、「趣向」という概念をワークショップ形式で探究します。「趣向」とは一見、感覚的な行為のようにも思えますが、実は日本の思想風土を知る上で欠かせない高度なメカニズムを有しています。

外の世界と繋がっている感覚、これが脳内に入って頭の中で何らかの操作をして出て行く。これが出力です。人の場合だと動き、運動になります。入力と出力のループが繰り返されることで、学びが蓄積されたり身についたりしてゆきます。


この入力出力の関係が非常に大事だということです。体を動かすような出力がほとんどない人は、頭の中にループができないので何も定着しないという結果になります。「お茶のもののみかた」は、この出たり入ったりを、”ありのまま”感じたり見たり聞いたりして実行することであります。


ありのままを出力する動作のうちのひとつ、「見立て」る作業をみんなでやっていきます。一見難しそうですが、構造やコツを掴むことでみんな簡単にできるようになっていきます。



難しいことは分解する、です。まずは対象物を観察して言葉で表現することが大切なのですが、絵が苦手な人やなぜそれを好きだと思ったか、かっこいいと思ったかの説明が苦手な人は、どこを見ていいかがわからない場合が多いのです。


どこを見ればいいのか、のポイントを項目として具体的に挙げてあげると、そこを穴埋めする作業はほとんどの方ができるようになります。かっこいいと思ったのは色なの?形なの?どういう形だから?といった風に、質問項目があれば何とか答えることができるようになってくる。なので、見るべきポイントを教えてあげるだけなのです。簡単。

こういった質問を自分で作って自分で答えるということを、デザイナーだったりコピーライターだったり編集に関わる方々はされているのです。


自分が答えを出した特徴を自然のものに喩えること。つまり、「っぽさ」を自然に当てはめていくのです。自然はありのままの代表選手です。自分の目で分析した要素、たとえば白いもやのような模様、を霧っぽいよねという風に、自然のもので表現していく作業。


ワークショップではワークシートの項目を埋めながら、お題に出された道具の「っぽさ」を観察し、導き出した言葉を書き出していきます。その言葉をもうひと工夫しながら、道具にそぐった銘をつけていきます。

道具につけた銘の発表。なぜこうなったかもきちんと言葉で説明できています。素晴らしい。


それぞれに道具を観察して名付けた言葉はどれも美しくて、ワークショップでぐぐっと力をつけてくれたことを実感しました。もちろん道具に名前をつける工程はこれが全てではなく一例にはなりますが、もののみかたを知ることで一気にお茶の世界を自分の領域に手繰り寄せることができたようです。難しそうなことでも、コツをつかめば身近になる嬉しさを、みんなで共有しました。


生徒さん達から嬉しい感想。「日本人の繊細で遊び心のあるコミュニケーション力に、ますますお茶の世界が面白く感じました」「日々の子育てにも通じる所があり、ハッとさせられたり、よかったんだ~と思ったり。これまで、綺麗だなあかっこいいなあで終わってたことを、ありのままの法則で文字にしたいと思いました。シンプルに目の前の物に感動できそう。。。」

「あるがままから、日常の自然に喩え、短歌へ。和歌や短歌も今まではそれほど興味がありませんでしたが、身近に感じられました。これからは多くの作品に触れ合いたいと思います。」


「ものはただのものではないのですね。今日はあれこれと色んな選択肢の中からひとつの銘を選んで決めるという流れの中で、ぴたりと来るものを自分で決めるのはとても気持ちのいいことで、その過程を丁寧にすれば納得いく答えがあるのかも、自分にぴたりと来るものたちを選んで心地よい暮らしにつながるのかも。」


生徒さんから事前にいただいたお手紙。今回も期待に添えたようで嬉しい。


この感覚はお茶の世界だけで終わらせることではなく、暮らしや仕事にも役立って行くと思っています。生徒さん達もそのような思いを抱いてくださったようで嬉しいです。茶道を通じて「センスを高めていく」、皆さんとやっていきたいことでもあります。


『TEA knowledge』これまでは、身体、脳にフォーカスをしてきましたが、次回第3回は対象物、物そのものを取り上げていきます。テーマは「事物」。


今後のスケジュール

座学『TEA Knowledge -お茶の「もののみかた」を愉しむ-』

・第3回 9月【事物】

 日時 11月3日(水)10:30-12:00

・第4回 11月【空間】(仮)

 費用 3500円(抹茶・お菓子付き)

 持参 筆記具・懐紙・菓子切り

 対象 稽古を受けている生徒様




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