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[茶道稽古] 平花月之式 / ひとりでいること みんなとすること(孤独と共感のバランス)

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 2022年2月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年8月16日

近所の茶室をお借りしての、茶室稽古を今月から始めました。 ・八畳間

・参加者5名、しかも棚の薄茶点前ができること この条件が整ってできる、「平花月之式」という稽古があります。 折据という紙に入った5枚の木札を取り、花を引いたものは点前を、月を引いたものは茶をいただく。それを4度繰り返していきます。役目は札を引いてみて初めて分かります。

この稽古のテーマは、「互換機鋒看子細」ごかんきほうしさいにみよ。 亭主、客、互いの役に少しもこだわらず、鋭く周りを観察して、心の眼をもって自分の置かれている立場を見ること。 そしてどの札が当たっても、慌てる事なく冷静に自分の役目を全うすること。 点前ができない、足捌きができない、という課題が毎回見つかりますが、できない説明が上手くなるよりも、修正箇所が露わになったと、次回の稽古ポイントを知る事ができたという風に感じてもらえると嬉しいです。



全員が初めての体験なので、少しでも良い時間になるように小冊子『平花月乃式の世界へようこそ』を作って生徒さんにお渡しいたしました。


みなさん一生懸命新しい事を吸収しようと、しっかりと集中されていました。平花月乃式の間は、基本的には点前について細かく指導はしません。急に当たった点前という役に戸惑う後輩に、先輩たちがこっそりと助言もしてくれていました。


稽古が終わり、水屋での事。一緒に茶巾を畳んでいた2人が居ました。とても美しい光景に見えました。水屋の仕事は教えてもらうものではなく自ら気を働かせ、周りの先輩の動きを見て覚えるものだと教わりました。先輩の彼女は、進んで一緒にして差し上げてたのだと思います。


その彼女の背中を見て後輩の方も、最後まで残って片付け、掃除をして下さった。私も一生懸命、この方々に茶道でお返ししていきたいと思わせてくれました。そんな2人の後姿です。

本日の干菓子は「太市」さんの梅と鶯。シンプルなデザインが美しいです。


『ひとりでいること みんなとすること(孤独と共感のバランス練習帖)』とは松浦弥太郎さんの著書。孤独を恐れずに愛しつつも、共感を大切にし、人と深くつながり人生の楽しみを分かち合う方法が書かれています。


茶道はもちろん稽古の上達は自分でしかできません。なぜ上達しないのか、自分の不得意な点を見つめ、自分自身に気づいていく。


そいういう点では孤独な作業でしか成り立たないものもありますが、水屋での光景のように、自分の持っているものを惜しみなく分かち合う思いやりの精神や、複数人の中に存在する自分というものの役割を理解して、お互いにスムーズに事を運んでいくことの繋がりの心地よさ、慈しみはみんなでしかできません。


古い友人や親族でいると、気を使わなくても楽ではあると思いますが、やはり、みんなで行う事からしか得られないものがあります。


稽古、平花月之式、水屋作業、茶会、準備に片付け。ひとりですること みんなですること。このどちらもを大切に見極めながら稽古に励んでいただければ嬉しく思います。

© TEA HOUSE SETAGAYA茶道

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