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一菓一話 #01|山吹

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 5月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月23日

赤坂塩野さんの「山吹」をいただきました。 しっとりとした甘さと、卵の風味。 ふと、鶏卵素麵のことを思い出します。

この製法、実はポルトガルから伝わった南蛮菓子がルーツだとか。 江戸時代、砂糖がまだ貴重だった頃、 こうしたお菓子は、殿様方の贅沢品だったのかもしれません。


そういえば、タイにもよく似たお菓子があります。 「フォイトーン」。 タイに縁のある生徒さんが教えてくれたことを思い出しました。ポルトガルとの交易が盛んだったアユタヤ王朝のころ、 卵と砂糖を使った菓子の文化も、海を越えて伝わったそうです。昔、海外に住んでるあの方、元気にしているかな。


さらに思い出したのは、アユタヤ王朝時代を描いたタイのドラマ『บุพเพสันนิวาส(ブッペーサンニワートLove Destiny)』のこと。


ポルトガル人宣教師や交易使節が登場し、当時の国際的な交流や文化が丁寧に描かれています。食文化や服飾、礼節、信仰の細やかな再現により、“美しき精神性が生きた時代”としてのアユタヤ“ が印象的に浮かび上がります。


そんな彼らも、もしかしたらこのような卵と砂糖の菓子を口にしていたのかもしれない—。 遠い歴史の中の誰かの手の中に、この甘さがあったと思うと、 時代と自分とが、ふっと重なるような気がしました。


お菓子って、国や時代を静かに旅してきたのだなあ、と。 そんなことを、ひとくち食べながら考えていました。


黄色い山吹の花の形をした和菓子
赤坂塩野製「山吹」


#一菓一話 シリーズを始めてみることにしました。

お菓子の向こうに浮かぶ、記憶と季節、そして文化の小さな話を、少しずつ。




© TEA HOUSE SETAGAYA茶道

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