top of page

一菓一話 #02|季節の薄氷「蛍」

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 5月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月23日

「意思があるみたいに、最終的には部屋中のメトロノームが全く同じ動きをするようになるんですよ!最初はバラバラに動いていたのに。」ある日、生徒さんがメトロノームの動きについて語り出したのは、茶室のなかでなぜか気分がシンクロ時があるよね、と話していた時でした。


そういえば、その時も茶室の中で、なぜ気分がシンクロしてくるのか、という話をしていたことを思い出します。蛍も同じように、点滅のリズムが同期することがあると聞いたことがあります。リーダーとなる一匹がいるわけでなく、ある周期で突然、みんなが同じタイミングで点滅を始める。


この現象は「非線形数学」の研究分野で、「シンクロ現象」や「引き込み現象」と呼ばれているのだそう。異なるリズムを持つ複数の要素が互いに影響し合い、やがてリズムが揃っていく。メトロノームや蛍だけでなく、人間の呼吸も現象の一例としてあげれれるそうで、つまり、人間にも本来、持っているリズムがあるということですね。


上手なお点前の方は、見ているだけでこちらも落ち着き、なんだか今日は楽しかったな、と思わせてくれます。それはその方のリズムが、振り子のように安定しているからこそ、引き込み現象が起きているのだと思います。


数学的に完全に証明できなくても、体感として感じ取れることがある。


ミントグリーンに黄色く小さく蛍がかわいい景色。

「季節の薄氷」は富山・五郎丸屋さんの定番商品、季節ごとにモチーフが変わり、初夏になると蛍が顔を見せます。


口に入れるとほろりと溶ける食感は、まさに職人技の賜物。味の繊細さや儚げな薄さも好きですが、蛍のデザインにことのほか惹かれています。



五郎丸屋「季節の薄氷・蛍」
五郎丸屋「季節の薄氷・蛍」

#一菓一話 | お菓子の向こうに浮かぶ、記憶と季節、そして文化の話を、少しずつ。

© TEA HOUSE SETAGAYA茶道

bottom of page