top of page

[稽古]1週目は変体仮名を学ぶ 2月/紀貫之と解せない男心

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 2020年2月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年5月24日

今年は第1週目は変体仮名のお勉強をしたいと思います。

京都小倉山荘さんの百人一首カレンダーが丁度良き。使わせていただきました。

先生からいただいたモクレン。あまりにも雄しべとめしべの色が素敵だからなかなか捨てられず、、、



2月は

「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける」紀貫之(古今和歌集)


【現代語訳】

あなたは、さてどうでしょうね。他人の心は分からないけれど、昔なじみのこの里では、梅の花だけがかつてと同じいい香りをただよわせていますよ。



平安時代は花といえば桜ではなく、梅だったのですね。吉野の桜が名所になったのはまだ先で、その頃は「吉野といえば雪山」でした。


変わっていく人の心と変わらず毎年美しく咲きづつける梅

和歌には普遍的なテーマが盛り込まれていて、そこから心理をお勉強するのはわかりやすくて楽しいです。

長谷の宿に久しぶりに貫之が尋ねたところ、そこの主人が「随分といらっしゃらなったけれども、あなたは心変わりをされたのかとおもいましたよ」と仰った、そのお返事の歌だそうです。


「あなたこそ私のことを思っていてくれていたの?人の心は移ろいやすいから。この花は相変わらず美しく香っているけれども」と梅を人枝差し出したとか。


なんと、男の人というのは不都合をかわす性質は昔から変わってませんね。なるほど勉強になります。

私がこの歌を詠まれたら、自分のことを棚にあげて〜!と反撃してしまいそうです。

人の心は移ろうもの、それをストレートに言わずにオブラートに包むのも男の人の優しさなのかもしれないですね。納得いきませんがw



追記


ことばの解説は小倉山荘さんより拝借いたしました

【人は】 贈答歌ですので、「人」は直接には相手のことを指していますが、後の「ふるさと」と対比した、一般的な「人間」という意味も含んでいます。

【いさ心も知らず】 「いさ」は下に打消しの語をともなって、「さあどうだろうか、…ない」という意味になります。「心も知らず」は「気持ちも分からない」という意味ですので、全体では「さあどうだろうか、あなたの気持ちも分かったものではない」という意味になります。「も」は強意の係助詞です。

【ふるさとは】 「ふるさと」には、「古い里」「古くからなじんだ場所」「生まれた土地」「古都」などの意味があり、ここでは「古くから慣れ親しんだ場所」という意味になります。

【花ぞ】 「花」は普通桜を指しますが、ここでは「梅」です。「人の心」と「ふるさとの花」が対置されています。

【昔の香ににほひける】 「にほひ」は動詞「にほふ」の連用形で「花が美しく咲く」という意味です。色彩の華やかさを表してる言葉でしたが、平安時代になると視覚だけでなく「香り」といった嗅覚も含まれるようになりました。

コメント


© TEA HOUSE SETAGAYA茶道

bottom of page