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[稽古]「できない」「分からない」から楽しい

  • 執筆者の写真: TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
    TEA HOUSE SETAGAYA 茶道教室
  • 2020年8月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年9月10日

「できないから楽しいのよ」「分からないからいいのよ」とは、私の茶道の先生が幾度とおっしゃってきた言葉です。


言われた当時はその意味が分かりませんでした。私はいわゆる器用貧乏で、茶道をやる前はある程度のことは”こなす”ことができていました。ですが、それはできた気になっていただけだったのですね。


茶道は、何かを飛ばして習得できるものではなかったのです。ぶっつけ本番というものが効かない世界。

今まで自分ができていたことが通用しない世界に、最初はモヤモヤし、時にはイライラすることもありました。

露が光って美しい。「朝顔」


このままでは何も成長できないことに気づき、自分の性格や習慣を変えてみよう、と決めてこれまでやってこなかったことをし始めたのです。

  • 一つ一つ丁寧に。(工程を飛ばさない)

  • 出来ない事を恥ずかしいと思わない。

  • 見栄を張って、完璧にこなそうと思わない。

  • 分かった気にならない。

  • 全てが分かるというおこがましさを捨てる。

こんなにもできていなかった自分を振り返るのは恥ずかしいですね。これを実行してきた今では、先生のおっしゃった意味が分かってき始めました。


日常生活では、出来ること、分かることをして過ごすことが大半です。「出来ることしかしていない」とも言えます。これは無意識に「分からないからやらない、できない」につながる怖さも秘めていると思います。


なんでも調べれば分かる世界に住んでいる私たちにとって、分からない世界は馴染みがないものです。ですが、やってみないと分からないことは確実にあります。自分が全てを知っている訳ではなく、先を生きている方々の知っている正解があるのです。「これはどうですか」「あれはどうですか」とお伺いを立てるのは違うなと最近思います。自分が知らない上の領域なので、聞いてもピンと来ないはずです。


私にとっては、茶道の師匠がたくさんの正解を持っている人でした。その方の仰ることだから、と信じて先を進むことができるのはとても幸せだと思います。


師匠でなくても「できない」「わからない」を一緒に楽しんでくれる仲間が近くにいると、人生が更に豊かに安らかになるのだと思います。まずは一番の親友である自分が「できない」「わからない」を味わえるようになると見栄を張らなくてもよくなり、等身大で生きていけるのだと思います。


夏に登場する「釣瓶水指」。井戸から釣瓶で水を汲み上げたイメージをさせるため、濡らして使います。年に1回しかお稽古で出会わないケースもあります。今回この方は初めて使いました。


柄杓を久しぶりに扱う方も初めての方も、頑張りました。1回で覚えるものではないのでゆっくり馴染んでいければいいと思います。ゆっくり時間をかけて、が茶道の醍醐味でもあります。そのうちふっと分かる瞬間がやってきます。

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